2014年02月23日

ルートヴィヒ

〈2014年映画感想3本目〉
ルートヴィヒ
Ludwig II
2012年 ドイツ 140分
監督:マリー・ノエル,ピーター・ゼアー
配給:ブロードメディア・スタジオ
出演:ザビン・タンブレア,セバスチャン・スキッパー,エドガー・セルジュ,ハンナー・ヘルツシュプルンク,トム・シリング

 19世紀のバイエルン国王ルートヴィヒII世の半生を描いた歴史映画です。ルートヴィヒII世は後に“狂王”と呼ばれる人物。世界史を趣味とする者としては興味深い存在のひとりであります。為政者には理想と現実の両方と真摯に向き合うことが要求されますが,あまりにも理想主義的でありすぎたということが彼の最大の悲劇なのでありましょう。しかし,その理想主義の発露としてノイシュヴァンシュタイン城やリンダーホーフ城が今もその輝きを失っていないのは人類史における確かな遺産でもあります。物語は父王マクシミリアンII世の死に伴う即位からシュタルンベルク湖畔での謎の死までが描かれます。概ね史実に即した展開ではありますが,歴史上の事件の順番を入れ替えている箇所が幾つかあることは気になりました。歴史映画である以上,基本的には歴史どおりに描いて欲しいと思うのですよね。また,史実ではルートヴィヒII世と友情に似た関係を保ったプロイセンのビスマルク首相との描かれ方が微妙だったことにはやはり不満が残ります。理想主義者のルートヴィヒII世と現実主義者のビスマルク首相は本来ならば正反対の相容れない存在である筈なのですが,それが故にかえって互いに好意を抱きあっていたということはやはり表現して欲しかった。とは言え,ルートヴィヒII世の理想に包まれた悲劇の生涯を俯瞰するには最適の作品であることもまた事実。ルートヴィヒII世を演じるザビン・タンブレアの神経質で線の細い貴公子然とした姿はルートヴィヒII世の印象そのままでありました。少なくとも世界史趣味者としての観点からは十分に楽しめた作品であります。いつか,彼が残したノイシュヴァンシュタイン城を訪れたいと思います。戦争を厭い平和主義を掲げ,芸術の中で一生を終えたいというのは或る意味で自分の理想でもありますから。華やかなバイエルン宮廷の衣装装束も見どころのひとつであります。
posted by 森山 樹 at 16:31| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想(映画館)