2014年03月17日

皇帝と公爵

〈2014年映画感想6本目〉
皇帝と公爵
LINHAS DE WELLINGTON
2012年 ポルトガル/フランス 151分
監督:バレリア・サルミエント
配給:サミット・エンターテインメント/ライオンズゲート,ギャガ
出演:ジョン・マルコヴィッチ,ヴァンサン・ペレーズ,マリサ・パレデス,メルヴィル・プポー,エルザ・ジルベルスタイン,カトリーヌ・ドヌーヴ

 ナポレオン戦争期のポルトガルを舞台とした歴史映画です。題名の皇帝とは勿論フランスのナポレオンI世を,公爵とはイギリスのウェリントン将軍を意味します。といっても,ナポレオンI世は肖像画として出演するのみで,ジョン・マルコヴィッチが演じるウェリントン将軍もそれ程重要な役割とは言えません。寧ろ,物語の中心となるのはイギリスとポルトガルの連合軍とフランス軍とが激突したブサコの戦いに運命を翻弄された名もなき人々であると言えましょう。英雄たちの姿ではなく,各陣営に身を置く一般人たちを描いた群像劇であるといっても差し支えないかと思います。歴史的な背景は最小限の説明に留められているので,ある程度このあたりの歴史事情に詳しくないと状況を把握するのはやや厳しいかもしれません。また,群像劇ということで視点が頻繁に変わるので物語の全体像を把握し辛いのもやや難点。但し,戦火の中での運命の交錯を自然な形で描いているのは実に面白かった。娯楽性には欠ける骨太な歴史映画ですので観賞する人を選ぶように思いますが,少なくとも世界史趣味的な観点からは非常に興味深い映画でありました。とは言っても,爽快感に欠けるのも事実。将帥に兵士,神父,未亡人,娼婦,追剥,令嬢とブサコの戦いに巻き込まれた人々の運命の変転を複雑な想いで観賞しました。個人的には英国令嬢のクラリッサが実に魅力的に思えました。マッセナ元帥役のメルヴィル・プポーも格好良かったけれど,やはりウェリントン将軍のジョン・マルコヴィッチの存在感は圧倒的ですね。それ程有能な人物に描かれていないのも面白かったです。似たような顔立ちの人物が多くて,混乱することが多かったのはやや残念でありました。とは言え,世界史趣味者としては存分に楽しむことが出来たのは間違いありません。
posted by 森山 樹 at 22:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想(映画館)