2008年02月03日

プレステージ

プレステージ
THE PRESTIGE
2006年 アメリカ 130分
監督:クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン
出演:ヒュー・ジャックマン,クリスチャン・ベール,マイケル・ケイン,スカーレット・ヨハンソン,デヴィッド・ボウイ

 種の分からない奇術は魔法と変わりません。だからこそ,自分は奇術師に憧れるのかな,と。特にイリュージョンと呼ばれる大がかりな奇術は大好きです。いつか本場のラスベガスで実際に見てみたいものです。

 クリストファー・プリーストの同名の小説の映画化。ちなみに邦訳版は『奇術師』という題名でハヤカワ文庫FTから刊行されています。この映画を見に行くつもりで読んでいたけれど,読み終わる前に劇場公開が先に終わってしまった思い出が。念願の映画版の視聴ということになります。
 思った以上に原作を大胆に再構成していたのが,逆に功を奏していたかな,と。原作では奇術師ボーデンとアンジャーの子孫が先祖の日記から真相を導くという構成でしたが,この部分は完全に削除。英断だと思います。ただ,物語が時系列ではないので,把握するまでに少々時間がかかりました。この辺りはもう少し分かりやすくても良かったのではないかしら。しかし,物語が佳境に入ると固唾を呑んで集中してしまいます。この辺りの求心力は素晴らしい。そして何といっても映画という視覚表現を生かした奇術の描写が格好いいのよ。特にニコラ・テスラの発明した装置を利用してのアンジャーの瞬間移動は外連味に溢れた描写で大好き。ニコラ・テスラが発明した装置ならあれくらいの描写は必要だよな。むしろ,ニコラ・テスラの屋敷が平凡だったことに落胆をしてしまったくらい。ちなみにニコラ・テスラを演じているのはかのデヴィッド・ボウイ。登場場面が非常に格好よく印象的でした。何はともあれ,視覚性の強い奇術は小説よりも映像で見せられたほうが説得力あります。その意味でも映像化に親和性の高い原作だといえるでしょう。
 前述のように物語そのものは原作から再構成されていますが,本筋となる部分は一部簡略化されているものの基本的には忠実です。結末だけはかなり変わっていますが,これには聊か不満が残ります。最終的な決着はつくのですが,これは両者共倒れの方が良かったのではないかしら。ただ,双方の瞬間移動の秘密を明かしながら,二転三転と状況が変わる終盤は見応え十分でした。原作の再構成の仕方が本当に上手いなと感心してしまったくらい。勿論,原作を読んでいるので二人の瞬間移動の仕掛けは分かっていたのですが,事前情報なしにこの映画を見た人の感想はどうだったのかな。ミステリとして見ていた人なら怒りだしてしまいそうではありますが,原作そのものがSFの範疇なので仕方ないことではあります。個人的にはこういう仕掛けは大好き。気持ちよく騙されました。
 個人的には原作よりも分かりやすい内容で楽しめました。奇術の為に人生を犠牲にする覚悟を持った二人の奇術師。彼らの華麗で危険な戦いに奇術師としての業を感じます。そして,互いの存在があったからこそ,まさに偉業と呼ぶしかない最高の奇術が編み出されたことに運命の皮肉さを覚えるのです。何はともあれ,満足のいく作品でした。原作と映画の両方に触れることで楽しみが増したように思います。
 蛇足。鳥籠に入った鳥を消失させる奇術の種明かしには驚きました。本当にあんなことをしているのでしょうか。
posted by 森山 樹 at 21:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想(DVD)
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