2011年04月18日

ナルニア国物語第3章:アスラン王と魔法の島

〈2011年映画感想8本目〉
ナルニア国物語第3章:アスラン王と魔法の島
The Chronicles of Narnia: The voyage of the Dawn Treader
2011年 アメリカ/イギリス 112分
監督:マイケル・アプテッド
脚本:マイケル・ペトローニ,クリストファー・マーカス,スティーブン・マクフィーリー
配給:20世紀フォックス
出演:ベン・バーンズ,ジョージー・ヘンリー,スキャンダー・ケインズ,ウィル・ポールター,リーアム・ニーソン,サイモン・ペグ,アナ・ポップウェル,ウィリアム・モーズリー,ローラ・ブレント,ティルダ・スウィントン

 「第1章:ライオンと魔女」「第2章:カスピアン王子の角笛」に続く〈ナルニア国物語〉の第3作目です。なお,過去2作の興行的不振を受けて制作・配給は今作から20世紀フォックスに変更されています。製作が危ぶまれていただけに制作元が変わったとはいえ第3章の公開は僥倖というもの。第4章の制作も一応は予定されているようです。本作の成果次第といったところでしょうか。

 〈ナルニア国物語〉第3作目です。「アスラン王と魔法の島」という聞き慣れない邦題がついていますが,要は「朝びらき丸 東の海へ」のこと。瀬田貞二によるこの邦題が大好きな自分としては釈然としない想いがあります。敢えて変更する必要があった様には思えません。それはともかく,物語としてはこれまで以上に原作が大きく改変されている印象があります。ただ今作に限ってはこれは仕方がないかなと思います。原作は海洋冒険小説ということで幾つもの島を巡る細かい逸話の積み重ねといった趣の作品なんですよね。これを丁寧に映画化かしようとするとかなり散漫な内容になってしまいます。その意味では重要な部分だけを摘出し,適度に繋ぎ合わせた本作の構成はある程度の最善を尽くされたと言ってよいかもしれません。但し,その弊害として物語がかなり適当な部分があるのも事実。これはこれで悪くはないと思うのですが,気になる人も多そうです。個人的には戦闘に終始した過去二作に比べて展開が早く起伏に富んだ物語を楽しむことが出来ました。特に魔法の描写はやっぱり素晴らしい。勿論,最後の大きな山場となるシーサーペントとの戦いは迫力十分。エドマンドとカスピアン王子,それにドラゴンと化したユースチスを駆るリーピチープそれぞれの戦いが実に見応えありました。「第1章:ライオンと魔女」では頼りない裏切り者であったエドマンドがここまで格好良く成長するとは思わなかったな。この大きな成長が実に嬉しいです。エドマンドとルーシーの雄姿を見られるのが一応今作で最後というのが哀しいです。ただ,これも彼らが成長したからだと言えるのかもしれません。

 カスピアン王子を演じるベン・バーンズの変わらぬ格好良さは特筆もの。前作で描かれたスーザンとの淡い恋愛が消え去ってしまったのは残念だけど。おまけに原作では後に彼の妃となるリリアンディルとの出逢いもごくあっさりした描写に留められていました。結構重要な箇所だと思うのだけどな。後日談的にでも見せてくれればよかったのにと思います。エドマンドとルーシーは相変わらず。前作から数年を経ているだけに成長も感じさせてくれるのが嬉しい。今作から登場するユースチスは原作通りに捻くれた困った子供ですが,ドラゴンに変身すると言う特異な体験を経ていい子に成長する様が丁寧に描かれます。これは元が子供向けの小説ということを鑑みれば悪くありません。演じるウィル・ポーターはユースチスの印象に良く似合っていました。いい配役だと思います。ただ,上記の人物を完全に喰う活躍を見せてくれたのがネズミの騎士リーピチープ。カスピアン王子の忠実な部下として,ユースチスのお目付け役兼指南役として存在感を見せつけてくれます。その愛らしい姿からは想像も出来ない勇敢な戦いぶりは実に印象的。最後にただひとりアスランの国へと旅立っていく姿は涙なしに見送ることは出来ません。また,もうひとつの主役とも言うべきなのがカスピアン王子が乗り込む帆船・朝びらき丸。これが非常に格好いい。竜を模した船首も素晴らしく魅力的。このような素敵な船で魔法の島を巡る冒険に出たいものです。勿論,傍らには勇敢なネズミの騎士が控えていることでしょう。なお,過去二作において主役を張ったピーターとスーザンは残念ながらナルニアを訪れてはいません。ただ,原作にはない登場場面が追加されているのは嬉しかった。スーザンは本当に美人になりましたね。

 若干,短い時間に詰め込め過ぎである感は否めませんが,その分内容の濃い作品に仕上がっていたと思います。個人的には充分に満足のいく楽しい作品でした。何よりも半分諦めかけていた〈ナルニア国物語〉の続きに触れられたと言うだけで嬉しいものがあります。ピーターやスーザンに再会出来たのも良かった。今まで〈ナルニア国物語〉を鑑賞してきた人であれば余計に楽しめるのではないかと思います。ペベンシー兄弟の成長ぶりが実に素敵な作品でした。

 余談。第4作は「銀のいす」ではなく,原作では第6作にあたる「魔術師のおい」が予定されているとのこと。ペベンシー兄弟がナルニア王として君臨している時代の物語なので,再びピーターやエドマンド,スーザン,ルーシーと再会出来るのかもしれません。早くても公開には2年以上かかるというのが待ち遠しいです。
posted by 森山 樹 at 23:27| Comment(2) | TrackBack(1) | 感想(映画館)
この記事へのコメント
こんにちは
huluで【第2章カスピアン王子の角笛】をみてリーピチープのあのキュートで気高い騎士にハマってしまい、【第3章アスラン王と魔法の国】をレンタルして楽しんでしまいました。
第1章は映画館で観て、続きを楽しみにしていたのに忘れてました><
第4章も映画化決定したので今度は劇場で観たいです。でもリーピチープがいないのが寂しいです。
Posted by Piano at 2014年02月17日 21:49
>Pianoさん
書き込みありがとうございます。
反応が遅くなって申し訳ありません。

第4章映画化決定ですね。
自分も楽しみにしています。
出来うるならば第7章まで映画化して欲しいところです。
あと,何年かかるか分かりませんけれども。
Posted by 森山 at 2014年03月10日 06:24
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/44432629
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック

ナルニア国物語/第3章:アスラン王と魔法の島
Excerpt: C・S・ルイス原作の大人気ファンタジー・アドベンチャーシリーズの第3章。今回はナルニアの海を舞台に、ジョージー・ヘンリー、スキャンダー・ケインズ扮するベベンシー兄妹の下の2人と新に従兄弟ユーチスををウ..
Weblog: LOVE Cinemas 調布
Tracked: 2011-04-19 00:02