2012年01月13日

カウボーイ&エイリアン

〈2011年映画感想34本目〉

カウボーイ&エイリアン
Cowboys & Aliens
2011年 アメリカ 118分
監督:ジョン・ファヴロー
脚本:アレックス・カーツマン,デイモン・リンデロフ,ロベルト・オーチー
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ/ドリームワークス/パラマウント
出演:ダニエル・クレイグ,ハリソン・フォード,オリヴィア・ワイルド,サム・ロックウェル,アダム・ビーチ,ポール・ダノ,ノア・リンガー,キース・キャラダイン,クランシー・ブラウン

 同名のグラフィックノベルを原作とした西部劇SF映画です。題名だけを見ると出落ち感が漂っていますが,案外真面目な西部劇に仕上がっている印象があります。これに少し落胆したのは紛れもない事実。もう少し馬鹿映画寄りの作品であることを期待したのですけれど。それはそれとして普通に楽しい作品ではありました。やや物語に無理がないではないけれども。

 19世紀の米国を舞台に宇宙人とカウボーイたちとの死闘を描いた西部劇SFアクション映画です。この西部劇とSFという相容れないように見える要素の均衡が非常に素晴らしい。馬鹿映画を期待していくと意外に真面目な西部劇に当てが外れてしまうかもしれません。但し,物語としては実に楽しい。記憶を失ったひとりの男の登場から始まる物語は最後までだれることなく楽しめました。当初は反目していたカウボーイとネイティヴ・アパッチが宇宙人に対して共同戦線を張る展開も燃えます。主人公ジェイク・ロネガンと彼を敵視していた冷酷な街の実力者ダラーハイド大佐の間に徐々に芽生える奇妙な信頼関係や謎の美女エラの意外な正体など盛りだくさんの内容が詰め込まれています。敵役となる宇宙人側の事情は基本的に一切語られないのは如何にも最近の風潮といった感じ。それでもジェイク・ロネガンを最初に捕えた隻眼の宇宙人との因縁など丁寧に張られた伏線を楽しむことが出来ました。ただ,人間を拉致するのに飛行機械からひとりひとりをロープで捕えて行くやり方は余りに非効率的な気がして失笑してしまいます。これは相手がカウボーイということで,そのやり方を意図的に製作側が取り入れたということなのかな。攫われた人間も結局は無事に救出されるなど都合のいい展開は他にも目立ちます。極めつけはジェイク・ロネガンの腕に付けられた宇宙人の超兵器でしょう。最初に捕えられたときに宇宙人の実験台にされかかったジェイクが抵抗する中で入手したことが語られますが,あんな危険な代物を捕虜の手に届くところに置いておくというのは御都合主義の最たるものに思えます。全般的に楽しめただけに,こういう細かなところで引っ掛かってしまうのが残念に思えました。このあたりを気にしなければ気にしない方が充分に面白いのですけれどね。一度気になってしまうとどうしても引き摺ってしまいます。

 主人公ジェイク・ロネガンを演じるのはダニエル・クレイグ。街の実力者でもうひとりの主人公というべきダラーハイド大佐を演じるのがハリソン・フォード。このふたりは流石に格好いい。ダニエル・クレイグの精悍な表情もハリソン・フォードの老練な演技も熱いものを感じます。特にハリソン・フォードは老いてなお一層格好良さを増した気がしますね。このふたりにオリヴィア・ワイルドが演じる謎の美女エラが物語の中心となります。オリヴィア・ワイルドの美しさも素晴らしい。銃士姿の女性というのは実に自分好みです。その出自を示すかのように人間的な表情を浮かべることが少ないのも素敵。ただ,やっぱり彼女も御都合主義の産物に感じてしまいますね。脇役陣ではダラーハイド大佐の息子でジェイクに喧嘩を売って惨敗するパーシー役のポール・ダノがお気に入り。この愛すべき駄目息子ぶりはたまらなくいいですね。かなり序盤で宇宙人に拉致されてしまうので活躍の場が殆どないのが残念ですが,拉致されなくても活躍は出来なかっただろうなと思います。また,愛する妻を取り戻す為に宇宙人討伐隊に参加したドクを演じるサム・ロックウェルも良かった。戦闘には不慣れな為に足を引っ張ることも多かったのですが,最後まで脱落することなく討伐隊の一員であったことは評価したいものです。ノア・リンガーが演じるエメットは討伐隊の最年少。ダラーハイド大佐との関係が印象的です。活躍の場も多く準主人公級の働きを見せてくれましたね。

 西部劇の文法を愚直に守りながら,そこに宇宙人との戦いという意外性のあり過ぎる要素を過不足なく加味した楽しい作品でした。物語の細部にはやや不満が残りますが,全般的には最後まで飽きることなく楽しめたように思います。もう少し宇宙人を丁寧に描写して欲しかったのは確かですけれど。人間を遙かに超える技術を持っているのに,結局はカウボーイやネイティヴ・アパッチにいいようにやられてしまうと言うのがいまいち納得できません。このあたりの瑣事を気にすることがなければ,娯楽映画として充分に楽しめる作品だと思います。少なくとも自分は相当満足できました。
posted by 森山 樹 at 21:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想(映画館)
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