2013年05月06日

Ted/テッド

〈2013年映画感想8本目〉
Ted/テッド
Ted
2012年 アメリカ 106分
監督:セス・マクファーレン
脚本:セス・マクファーレン,アレック・サルキン,ウェルズリー・ワイルド
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ/東宝東和
出演:セス・マクファーレン,マーク・ウォールバーグ,ミラ・キュニス,ジョエル・マクヘイル,ジョヴァンニ・リビシ,サム・J・ジョーンズ,ノラ・ジョーンンズ,トム・スケリット,ライアン・レイノルズ

 アメリカで大ヒットしたコメディ映画。日本でも口コミで面白さが伝わり,急遽上映館が拡大された経緯があります。最初はちょっと遠くまで足を運ぶことを覚悟していましたが,幸い上述の理由で近場の映画館で鑑賞することが出来ました。割と古めの映画ネタが頻出するので鑑賞する人を選ぶかもしれませんが,分からなくてもそれなりに楽しめます。『フラッシュ・ゴードン』は知っていた方がいいけどね。

 少年の祈りに応えて命を宿したテディベアのテッドとその少年ジョン・ベネットの絆を描いた人情コメディ映画です。と聞くと,いいお話に聞こえますが,実際にはいい意味でかなり酷いお話。とにかく,テッドの個性が強烈と言うか中年親父そのもの。かつての少年ジョン・ベネットも今や35歳になり,ダメな独身男性となってしまっています。このテッドとジョンの友情が主軸になるのですが,これが存外に楽しそうで妙に憧れを感じてしまいます。特にジョンは同年代と言うこともあって親近感を覚えてしまうのですよね。尤も,日本とアメリカの文化の違いもあるので,ジョンたちと自分の生活とはやはり懸け離れているのですが,それでも共通する部分を感じてしまいます。休日には酒と女とマリファナ漬けというのは酷すぎるけれど,それはそれで明るく楽しそうなのです。とは言え,このような生活はいずれ終焉を迎えるわけで,ジョンは同棲相手ロリーから最後通牒を突きつけられてしまいます。友情と彼女との結婚の狭間で悩むジョンの姿が嫌に現実的。最終的にテッドが家を出て行くことでこの問題は決着するのですが,この初めての離れ離れの生活がふたりの運命に大きな影響を与えて行きます。物語としては王道ではありますが,とにかくテッドという特異な存在が物語に及ぼす印象が非常に大きくて素敵。ビールをラッパ飲みし,マリファナを燻らせ,売春婦を侍らすテディベアの圧倒的な存在感。自分勝手で我儘でありながら,それでもジョンとの友情だけは何よりも優先するテッドはある意味で格好いいなあと思います。また,テッドを大切にする一方でロリーも真剣に愛し,大人として成長することに足を踏み出すジョンの姿も悪くない。誘拐されたテッドを救出すべく奮闘する最終盤のジョンとロリーは非常にいいものがありました。お約束で御都合主義ではあるものの,ことこの物語に関しては王道であることが上手に機能していると思います。かなり下品な下ネタが折々に見られることを除けば,万人が楽しめる素敵な映画に仕上がっています。古めのアメリカ文化を知っていれば,なお細かいネタがちりばめられていることが理解出来るでしょうけれど。自分程度の知識でも存分に楽しめました。

 テッドの声を演じるのは監督・脚本・製作を務めるセス・マクファーレン。声の演技は分かりませんが,キャラクターには合っていたと思います。というか,合うようにキャラクターの設定をしたのだろうけれど。コメディアンらしい軽妙で機知に富んだ台詞の数々が実に楽しかったです。ジョン・ベネット役はマーク・ウォールバーグ。気弱な風貌のダメな大人を好演していました。テッドに乗せられての下品で毒のある会話は好きな人にはたまらない筈。『フラッシュ・ゴードン』への執着は正直理解し難い部分もあるけれど,それだけのこの番組が当時のアメリカ文化の代表という意味合いを持っているということなのでしょう。ジョンの恋人ロリー役は最近よく見る気がするミラ・キュニス。仕事の出来る健康美人といった風貌が魅力的。ジョンに比べれば,余程に世間の評価は高そうですが,この手の女性がダメな男性に引っかかるというのもよくある話ではあります。これは洋の東西を問わないということかな。また,『フラッシュ・ゴードン』で主人公を演じたサム・J・ジョーンズを始め,トム・スケリットやノラ・ジョーンズまでもが本人役で登場しているのが素敵。特にサム・J・ジョーンズとノラ・ジョーンズは物語で重要な役割を果たしています。サム・J・ジョーンズはしかし年を重ねても格好いいなあ。ジョンやテッドが憧れを持ち続けるというのも分かる気がします。そして,ノラ・ジョーンズはこの手の映画に出てもいいのだろうかと思わせます。まあ,彼女の印象が直接損なわれるわけではないのですけれども。米国のトップ歌手の度量の広さを感じざるを得ません。

 物語は王道で誰にでも楽しめる筈。問題は各所にちりばめられた趣味的な小ネタと言うことになりますが,最低限『フラッシュ・ゴードン』くらいは知っておいた方がいいのかなあ。知らなくても,そういう人気番組が昔あったんだ,で通用しそうな気もするけれど。但し,アメリカ的なコメディに対する耐性はやはり必要かと思います。逆に言えば,このあたりに興味がない人がわざわざ鑑賞する映画ではないと思うけれどね。字幕を見る限り,かなり台詞に意訳が入っていそうな雰囲気。これはやはり本来ならば原語で楽しむべき映画なのでしょう。当地の文化を理解している人が原語で触れてこそ,本当の面白さが分かる映画というように思います。その意味では自分もそれ程きちんと理解出来ているわけではありません。それでもなお物語として楽しむことの出来る優れた映画ではあると思います。個人的には大満足でした。
posted by 森山 樹 at 14:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 感想(映画館)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/66634248
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。

この記事へのトラックバック